治療方法
椎間板ヘルニアと遺伝の関係性について
20代から40代の方に多い椎間板ヘルニアは椎間板の変性によって引き起こされる疾患です。腰痛もあれば坐骨神経痛などもあり、神経症状は特にしびれや痛みが激しくなります。またひどい時は排尿障害や排便障害に至り、そのままでは手術しかない状態になる場合もあります。
また主な原因は椎間板の変性にかかわる姿勢の悪化や運動不足、骨の老化、外傷によるものが多いと言われていましたが、最近では遺伝的要因がつよく関与していると言われ、その詳しいメカニズムの解明に多くの関心が集まっていましたが、CILP という遺伝子が発症に関与しているという研究結果が発表されています。
このCILPという遺伝子は軟骨の細胞にある蛋白質ですが、椎間板の変性が大きければ大きいほど発現も強くなると言われています。その他には椎間板ヘルニア患者と正常な方との遺伝子を約1000人ずつ集めた結果、COL11A1という遺伝子の発現の差によって発症の可能性が1.4倍になるという統計学的結果もあります。COL11A1は椎間板を正常な状態にするコラーゲンを作る遺伝子のため、患者の椎間板にはこのコラーゲンも減少が見られます。
もちろん日常生活での不摂生は椎間板に大きく影響します。加齢によって徐々に水分が減れば弾力性が低下しますし、このことが進行すると捻挫や打撲などが起こったり、スポーツの怪我でも多くの発症例があり、咳やくしゃみといった軽いはずみで急性の症状が起こることがあります。また骨の老化、骨盤の歪みも大きく影響します。
原因遺伝子の特定は理化学研究所や各大学での研究によってなされましたが、発症の仕組みを解明したり、または新薬の開発にも役立つものとして大きな期待が寄せられています。またアメリカでは喫煙との関係が深いという研究結果もあるようです。ウイスコンシン医科大学やバーモントン医科大学での研究によるもので、喫煙するとヘルニアの発症率が高まるようです。